アルミホイルを指に巻くと咳が止まる?医学的根拠はゼロです。

偶然ではありますが、Google検索の予測変換で「アルミホイル 咳」というキーワードを見つけました。
調べてみると、どうやら「アルミホイルを指に巻くと咳が止まる」という噂がSNSなどで拡散されていました。

はっきり申し上げます。

アルミホイルに咳を止める効果は、一切ありません。

これは完全なデマであり、科学的な根拠はゼロです。

そもそも、誰がどうして「咳止まんらないから、指にアルミホイル巻いてみよう!」となったのか・・・。

こうした「簡単にできそうな対処法」は、特に原因がはっきりしない長引く咳に悩む人たちにとって、つい試したくなるものです。

「副作用がなさそう」「誰でもできそう」と感じさせる民間療法は、SNS時代では一瞬で拡散されます。

しかし現実には、アルミホイルは単なる金属製のシートであり、皮膚に巻いたところで、神経や気道に直接働きかけることは不可能です。

2. アルミホイルを巻くと、アルミニウムが体に吸収されるのでは?

もしかすると、中には「アルミホイルを巻くことで、アルミニウムが体に吸収されて咳に効くのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、そのような作用は一切確認されていません

理由として、

  • 皮膚は外部からの異物の侵入を防ぐバリア機能が非常に強く、アルミニウムのような金属は皮膚からはほとんど吸収されません。
  • 制汗剤に使われるアルミニウム塩でも、ごく微量しか吸収されず、健康への影響はほぼ無視できるレベルとされています。
  • さらにアルミホイルの表面は酸化アルミニウムの被膜で覆われており、化学的にも安定しているため、皮膚との反応性も非常に低いのです。

つまり、皮膚にアルミホイルを巻いても、咳には何の影響も与えません。

発想はすごいですね・・・

3. 実は医師は咳の持続期間を目安にしている

咳は様々な原因で起こります。特に多いのが風邪の咳です。

実際、風邪を引いた後に咳が長引くといった症状で受診される方は多いです。

その際医師は、診断の手掛かりの一つとして、咳の持続期間を意識しています。

その期間は3週間と8週間です。

日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019より

上記は色々なクリニックのホームページにも記載されている、咳の持続期間による分類です。
3週間以内を急性咳嗽、3週間から8週間を遷延性咳嗽、8週間以上を慢性咳嗽と言います。

急性咳嗽の多くはウイルスによる感染です。つまり、風邪であっても3週間程度咳が長引いてしまうことがあります。

お伝えしたいことは「3週間以上咳が長引くのであれば、アルミホイルを巻く前に医師に相談してください」ということです。何か疾患が隠れている可能性があります。

また「3週間以内なら大丈夫」ということでは決してございません。
あくまでウイルス感染の可能性が高いというだけであって、喘息や肺炎などがないわけではありませんので、ご注意ください。

4. まとめ:アルミホイルは正しく使いましょう

「体に何かを巻く・貼る・当てる」タイプの民間療法は、簡単で効果がありそうに見えるため広まりやすい一方で、科学的にはほとんどが根拠のないものです。

場合によっては皮膚トラブルや、本来必要な治療が遅れることで、病状が悪化することもあります。

困ったときこそ、怪しい情報ではなく、信頼できる医療情報を選びましょう。

参考文献

1. 日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019

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